
保育園からの「肉を飲み込むのが早い」という連絡を受けて
2歳を過ぎて乳歯が増えると、柔らかい食事のままでよいのか迷うものです。保育園から「時々むせる」と聞けば、家庭の用意が原因かと気になるかもしれません。ここでは硬さや切り方、ひと口量、姿勢、ペースの見直し方と相談の目安を整理します。急に硬くするより、今食べられる食感から少しずつ変えていくのが基本の考え方です。
この記事の要点まとめ
- 2歳ごろは噛む・飲み込む動きが発達途中のため、乳歯の本数だけで判断せず、食材や場面ごとの様子を記録する。
- 食感は急に硬くせず、加熱や切り方、ひと口量、足が着く姿勢、次のひと口を待つ声かけを少しずつ見直す。
- むせや飲み込みにくそうな様子が続く、食べられる物が減る場合は記録を持って小児科・歯科へ相談する。息ができない等は緊急対応を優先する。
2歳の子どもが噛まずに飲み込むとき、何を見ればよい?
乳歯の本数だけでは決まらない、噛む・飲み込む動き
食べ物は歯で噛み砕かれ、舌や頬の動きで口の中にまとめられてから喉へ送られます。2歳ごろは奥歯が生えそろう途中で、この一連の動きもまだ練習の段階です1。口の形や力と食習慣の関連を示した研究もありますが、対象は3〜6歳の子どもで、2歳にそのまま当てはめられるものではありません2。柔らかい食事を出してきたこと自体が、すぐ発達上の問題につながるとは限らないのです。
噛む力が弱い子どもに見られる食べ方と、むせる場面
観察したいのは、丸飲みに近い食べ方、口にため込んでなかなか飲み込まない、特定の食感だけ避ける、といった様子。ただし特徴が一つ見られただけで「噛む力が弱い」と決めつけないでください。肉のように繊維が残る食材だけでむせるのか。ひと口が大きいときか、急いでいる場面か。場面ごとに分けると手がかりが増えます1。
食べるのが遅い・飲み込めないと感じたときの記録
家庭と保育園で、食材の種類、切り方、むせた回数、飲み込むまでの様子をメモしておきましょう。コツは「時間がかかる」と「飲み込みにくそう」を分けて書くこと。おしゃべりで遅い日と、口に残って進まない日とでは、見直す点が違ってきます。
幼児の噛む力を食事で育む、硬さと切り方の工夫

柔らかいものから、噛んで形が変わる食材へ
幼い時期に年齢に合った食感を経験することは、その後の食べ方や食の好みに関わると考えられています3。とはいえ、顎を鍛えようと急に硬いものへ切り替える必要はありません。よく加熱した大根やにんじんを少し大きめに切る、魚はほぐしすぎず小さな塊を残す、鶏ひき肉に豆腐を混ぜてしっとり仕上げる。普段の献立でも試せることはあります。前歯で噛み切れているか、口の中でまとめられているかを見て、次へ進むかを決めましょう。食感の段階は年齢で一律に区切らず、その子の口の動きに合わせる考え方が提案されています1。
肉や野菜の切り方は、ひと口量と一緒に調整する
肉は繊維を断つ向きに薄く切ると噛み切りやすくなります。野菜は柔らかく加熱してスティック状にし、前歯でかじり取れる形にするのも一案です。細かく刻むほど食べやすいとは限らず、口の中でばらけてまとめにくくなることもあります。切り方を変えるときは、一度に口へ入れる量も同時に確かめるのがポイント。スプーンに盛る量を少なめにし、手づかみなら大人がひと口分を見守ります。
丸い食材や硬い食材は、窒息につながる形に注意
ぶどうやミニトマトは丸ごと出さず、4等分ほどに切りましょう。硬い豆・ナッツ類や餅は、噛む練習の材料としては使わないでください。国の機関も、5歳以下の子どもに硬い豆やナッツ類を与えないよう呼びかけています。食事は座った状態で大人が見守り、食感を変えた日は特に食べ方をよく見てあげてください1。
急いで飲み込む子どもの食事習慣は、座り方とペースから見直す
足が落ち着く座り方と、次のひと口を待つ声かけ
足が宙に浮いたままだと体が安定せず、噛むより流し込む食べ方になりやすい場合があります。足置きや踏み台で足裏が着く高さに整え、テーブルは肘が無理なく乗る位置に。「10回噛んで」と回数で急かすより、口の中が空いたのを確かめてから「次はどれにする?」と声をかけるほうが、ペースは落ち着きやすくなります。食べる環境や習慣も口の使い方に関わる、という視点を持っておくと見直す点が見つかります3。
家庭・祖母・保育園でそろえたい食事の伝え方
祖母に夕食をお願いする日があるなら、「肉は繊維を断って薄く」「ひと口は少なめ」「お茶で流し込まない」と短いメモにして冷蔵庫に貼っておく方法があります。保育園と家庭で食べ方が違うのは珍しいことではありません。場所による差を責め合うより、むせた食材とその日の眠気や体調を伝え合うほうが、原因を絞り込みやすくなります。
お口ぽかんや口を使う遊びは、食事とどう関係する?
「ロポカン」とも呼ばれるお口ぽかんが続くなら、食事中に唇が閉じているか、鼻が詰まっていないかも見てみましょう。唇の力と食べ方の関連は報告されていますが2、それだけで噛みにくさの原因とは言い切れません。吹く・すするといった口の遊びは楽しめる範囲で取り入れ、食事の見直しの代わりにはしないのが現実的です。
新潟県で2歳の食べ方を相談するときの目安と伝え方
むせが繰り返す、食べられるものが減るときは相談を
食事のたびにむせる、飲み込みにくそうな様子が続く、食べられる食材が減ってきた、体重の増え方が気になる。こうした状態は、小児科や歯科に相談する目安になります1。息ができない、声が出ない、顔色が悪いといった場合は、食事の工夫よりも119番などの緊急対応を優先してください。
歯科に伝える記録と、必要に応じた相談先
相談時には、むせた食材と頻度、家庭と保育園での違い、歯や口で気になる点を伝えます。歯科では歯の生え方や噛み合わせ、唇や舌の動きなど口の状態を確認します2。飲み込みや呼吸の問題が疑われれば、小児科や耳鼻咽喉科とあわせて考えることもあります。当院では、食べ方のご相談では口の中だけでなく、ご家庭での食事の様子を詳しく伺うことを大切にしています。
口の機能の訓練を探す前に、今の食べ方を確認
新潟県でも「新潟市 mft 小児」のように、口腔筋機能療法(MFT)を探す方がいます。訓練の有無より先に、困っている食事場面と口の状態を相談してみてください。MFTは練習の内容を理解して自宅で続けられる年齢になってから行うことが多く、2歳では食事の形や姿勢の見直しが中心になるのが一般的です。
口の機能の管理は、口腔機能発達不全症と診断された場合などに保険診療で行われることがあり、それ以外は自由診療になります。自由診療でMFTを受ける場合、一般的には唇や舌の動きを確認する検査のあと、自宅で行う舌・唇の練習を歯科医院で確認・指導する形で進みます。通院は2〜4週間に1回程度、期間は数か月〜1年程度が目安で、費用は1回あたり3,000円〜1万円程度、全体で数万円〜10万円程度が一般的な相場です。これは一般的な相場であり当院の費用ではありません。当院の費用は診察のうえでご案内します。
MFTで考えられる主な負担やリスクには、練習に慣れないうちに舌や口のまわりに疲れやだるさを感じること、毎日の練習が子どもやご家族の負担になること、練習が続かないと変化が見られにくいことがあります。変化の現れ方や必要な期間には個人差があります。
ネット上で見かける金額は一般的な相場とは限らず、当院の費用でもないため、浅井歯科医院を含め、実施内容は事前にご確認ください。五泉市周辺で相談先を探す場合も、1〜2週間分の食事メモを持参すると話が具体的に進みます。
よくある質問
Q1. 子どもの噛む力を育てる食べ物はありますか?
A. 特定の食べ物で決まるものではありません。加熱した根菜を少し大きめに切る、魚に小さな塊を残す、しっとりしたひき肉料理にするなど、噛んで形が変わる食材を今の食べ方に合わせて取り入れるのが一般的です。硬い豆・ナッツ類や餅は練習用には使わないでください。
Q2. 噛む力が弱い子どもには、どんな特徴がありますか?
A. 丸飲みに近い、口にため込む、特定の食感を避けるといった様子が見られることがあります。ただし、ひと口量や急いでいる場面、食材の切り方でも変わるため、一つの特徴だけで判断せず、場面ごとに記録してみてください。
Q3. 1歳台から噛む力のためにできることは?
A. 足が着く姿勢で座り、手づかみ食べで前歯を使ってかじり取る経験を重ねることが基本になります。食材の硬さは月齢だけで決めず、口の中でまとめられているかを見ながら進めます。
Q4. 食べるのが遅い・飲み込めないときは、まず何をすればよいですか?
A. 「時間がかかる」のか「飲み込みにくそう」なのかを分けて観察します。飲み込みにくそうな様子やむせが続く場合は、記録を持って小児科や歯科に相談してください。
参考文献
1. Delaney AL, Staskiewicz S, Morris SE, et al. A Developmental Texture Framework for Food Texture Progression: Implications for Feeding Development, Oral Motor Skills, and Pediatric Feeding Disorder. Journal of texture studies. 2025. PMID: 40524373. DOI: 10.1111/jtxs.70026
2. Scudine KGO, de Moraes KN, Miyagui SA, et al. Understanding the relationship between orofacial structures and feeding habits of preschoolers: A multivariate analysis. Journal of texture studies. 2023. PMID: 36849700. DOI: 10.1111/jtxs.12748
3. Lasschuijt MP, Forde CG. The Art of Chewing: Optimizing Early Life Sensory Exposure to Develop Healthy Eating Behavior. Nestle Nutrition Institute workshop series. 2024. PMID: 39586288. DOI: 10.1159/000540142
新潟県立新津高校卒業
2008年
明海大学歯学部歯学科卒業
明海大学付属明海大学病院 歯科医師臨床研修(〜2009年)
2009年
明海大学歯学部 オーラルリハビリテーション学分野入局 PDI診療センター勤務(〜2013年)
2013年
新潟大学大学院医歯学総合研究科 組織再建口腔外科学分野入局(〜2017年)
2015年
富山県立中央病院歯科・口腔外科勤務(〜2016年)
2017年
新潟大学大学院医歯学総合研究科修了(歯学博士学位取得)浅井歯科医院勤務
(4月1日)日本顎咬合学会入会
2010年
(6月23日)日本口腔インプラント学会入会






