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お口の豆知識 TRIVIA

離乳食の丸飲みが心配?食材の硬さ目安とお口の発達を促す進め方

離乳食の丸飲みが心配?食材の硬さ目安とお口の発達を促す進め方

離乳食を噛まずに飲み込んでいるように見えるとき


中期の離乳食で「あまり噛まずにゴックンしている気がする」と感じることはありませんか。お口の動きの発達には段階があり、硬さや大きさが合わないと丸飲みにつながることも。新潟県の歯科医院の視点から、時期別の硬さの目安とお口の機能を育てる進め方のコツをお伝えします。


この記事の要点まとめ


  • 離乳食は月齢ごとに絹ごし豆腐やバナナなど身近な食材で硬さの目安を確認できます
  • スプーンの乗せ方や姿勢を整えると、お口の動きを引き出しやすくなります
  • 手づかみ食べは前歯でかじり取る力や一口量の感覚を育てる助けになります

離乳食の丸飲みやぽかん口を防ぐ「お口の発達」の仕組み

離乳食の丸飲みやぽかん口を防ぐ「お口の発達」の仕組み

離乳食期は、吸う動きから噛んで飲み込む動きへ切り替わっていく時期。この移行をゆるやかに支えることが、お口育ての出発点になります。


噛まずに飲み込んでしまう主な原因とお口の動き


生後8ヶ月ごろは、舌が前後だけでなく上下・左右へと動きの幅を広げていく段階。舌と唇の連動が育ちきらないうちに水分の多いとろとろ食が続くと、つぶす練習の機会が少なくなり、そのまま奥へ送る動作が習慣になりやすいと考えられます。口を閉じずに食べていると、つぶす前に喉のほうへ流れてしまうことも。丸飲みは「噛む気がない」のではなく、噛む動きを使わずに済む状態が続いている場合が多いとみられます。


将来の歯並びや顎の発達につながる口周囲筋のトレーニング


唇を閉じ、舌や頬の筋肉を使うこと自体がお口まわりのトレーニングになります。噛む筋肉が働けば顎の骨に適度な刺激が加わり、顎の成長を後押しする一因になると考えられています。反対に唇を閉じる力が育ちにくい場合、ぽかん口や口呼吸のくせにつながる可能性も指摘されています。当院ではりっぷるくんを用いた口唇閉鎖力の測定も行っており、数値を見ながらお口の育ち具合を確認いただけます。


【時期別】離乳食の食材の硬さ目安と切り方の進め方

【時期別】離乳食の食材の硬さ目安と切り方の進め方

「歯ぐきでつぶせる硬さ」と言われても迷うところ。身近な食材にたとえて整理します。


初期・中期:ポタージュ状から絹ごし豆腐・バナナの硬さへ


初期(5〜6ヶ月ごろ/ゴックン期)は、なめらかなポタージュ状が目安。スプーンを傾けるととろりと落ちる程度で、粒感は残しません。中期(7〜8ヶ月ごろ/モグモグ期)は、指で軽く押すとつぶれる絹ごし豆腐くらいの硬さが基準です。舌と上顎で押しつぶす練習の時期なので、みじん切りから2〜3mm角へ少しずつ形を残していきます。すべてを均一なペーストにせず、粒とやわらかい塊を混ぜると舌の働く場面が増えます。


後期・完了期:熟したバナナから肉団子の硬さへ


後期(9〜11ヶ月ごろ/カミカミ期)は歯ぐきでつぶせる硬さへ。熟したバナナを指でつまむと形が崩れる程度で、大きさは5〜8mm角から1cm弱へ。前歯でかじり取れるスティック状も取り入れます。完了期(12〜18ヶ月ごろ/パクパク期)は、やわらかい肉団子や煮込んだ根菜くらいの硬さを目安に、1〜1.5cm角を基本に。硬すぎる食材はかえって丸飲みにつながることもあるため、段階を飛ばさないよう注意が必要です。


月齢にとらわれない「お口の発達サイン」による判断基準


進める判断は、月齢よりお口の動きから。


  • 唇を閉じて飲み込めているか(口角からこぼれ続けないか)
  • 頬や口元が上下・左右にモグモグ動いているか
  • 舌が前に押し出されず、左右へ食べ物を送れているか
  • 一口をため込まず、リズムよく処理できているか

複数が落ち着いてきたら次の段階へ。迷うときは、新潟県の歯科医院で発達段階を確認する方法もあります。


食べる機能を正しく育むスプーンテクニックと姿勢の工夫


同じ献立でも、与え方ひとつで使われるお口の動きは変わります。


上唇の動きを引き出すスプーンの乗せ方・引き抜き方


スプーンは食べ物を平らな部分に薄く乗せるのが基本。山盛りにすると口の中で処理しきれず、丸飲みにつながりやすくなります。下唇に軽く触れて口が開くのを待ち、舌の中央あたりまで水平に入れます。奥へ押し込むと、つぶす前に喉へ送られやすいため注意しましょう。上唇を下ろして取り込む動きが見られたら、スプーンをまっすぐ水平に引き抜く。上の歯ぐきにこすりつけて抜く癖がつくと、上唇を使う機会が減ってしまいます。ひと口ごとに間をとることも意識してみてください。


流し込み食べを防ぐ足の踏ん張りと姿勢づくりのポイント


噛む力は、体幹が落ち着いてはじめて発揮されます。足がぶらぶらすると上体が不安定になり、飲み物で流し込む食べ方になりやすい傾向があります。


  • 足の裏全体が床か椅子のステップに着く
  • 股・膝・足首がおおよそ直角になる
  • 背中が丸まらず、テーブルの高さはみぞおち付近
  • 顎が上がっていない(上向きは飲み込みにくい)

ステップが合わないときは台や丸めたタオルで調整を。食事中の水分は、口の中を空にしてから少量ずつ。当院では管理栄養士による食育指導も行っており、姿勢や食具選びまで含めてご相談いただけます。


前歯でかじり取る力を育てる「手づかみ食べ」の進め方


散らかるので気が重い場面もありますが、手づかみ食べはお口の機能を育てるうえで意味のある時間です。


手づかみ食べが前歯の噛み切りと一口量の学習を促す理由


介助のスプーンだけで進めると、一口の量を決めるのは大人。自分の手で口へ運べば前歯でかじり取る動きが自然に生まれ、「自分のひと口はこのくらい」という感覚を体で覚えていきます。一口量の感覚が育つことは、詰め込みすぎや丸飲みを避ける土台になると考えられます。手や指先で硬さや温度を確かめる経験も、食べ物への抵抗感をやわらげる助けになるでしょう。生後9ヶ月ごろ、食べ物へ手を伸ばす様子が見られたら始めどきの目安です。


喉づまりを防ぎながら楽しく取り組めるメニュー例と調理


握りやすく、前歯で噛み切りやすい形が扱いやすいです。


  • スティック状の野菜:にんじん・大根・さつまいもを1cm角×5〜6cmの棒状にし、指で押してつぶれるまで加熱
  • 蒸しパンや食パン:厚めに切って持ちやすくする(耳は月齢に応じて調整)
  • やわらかく焼いた魚:骨を丁寧に取り除いて小判形に
  • ゆでたブロッコリー:茎を持ち手にすると握りやすい

丸くつるりとした食材は避け、ぶどうやミニトマトは縦に切り分けます。必ず座った姿勢で、目を離さず見守ることが前提です。むせや強い咳が続くときは、形状を見直しましょう。歯が生え始めたら食後の歯みがきも少しずつ始め、家族で食卓を囲む時間を積み重ねていけると理想的です。


よくある質問


Q1. 離乳食の食いつきがよい硬さはどのくらいですか?


A. 発達段階に沿った硬さのときは、口の動きがスムーズになり食べ進みやすい傾向があります。中期なら絹ごし豆腐程度、後期なら熟したバナナ程度が一般的な目安です。硬すぎても軟らかすぎても口の動きが止まりやすいので、様子を見ながら調整してください。


Q2. 「歯ぐきでつぶせる硬さ」の見分け方を知りたいです。


A. 加熱した食材を親指と人差し指ではさみ、軽い力で形が崩れるかを確かめます。指でつぶせれば歯ぐきでも対応しやすい、と考えると分かりやすいでしょう。同じ食材でも加熱時間で大きく変わるため、そのたびに確かめる方法をおすすめします。


Q3. 「舌でつぶせる硬さ」との違いは何ですか?


A. 舌でつぶせる硬さは中期の目安で、絹ごし豆腐やよく煮た野菜のように上顎へ押し当てただけで崩れる状態を指します。歯ぐきでつぶせる硬さは後期以降で、それよりやや抵抗があり、噛む動きが必要な状態です。


Q4. 丸飲みが気になるとき、歯科医院に相談してもよいのでしょうか?


A. はい、お口の機能に関わるご相談は歯科の領域です。舌や唇の動き、歯の生え方、姿勢などを含めて確認し、食材の形状や与え方について一緒に考えていきます。気になった段階でお声かけください。


Q5. 歯みがきはいつから始めればよいですか?


A. 下の前歯が生え始めたころから、ガーゼや乳児用歯ブラシで少しずつ慣らしていく方法が一般的です。離乳食が始まる時期はお口に物が入る感覚を覚える時期でもあり、遊びの延長で取り組みやすくなります。


浅井佑介

歯科医師


浅井歯科医院

院長

浅井佑介

▶ 監修者プロフィール

経歴
2002年
新潟県立新津高校卒業
2008年
明海大学歯学部歯学科卒業
明海大学付属明海大学病院 歯科医師臨床研修(〜2009年)
2009年
明海大学歯学部 オーラルリハビリテーション学分野入局 PDI診療センター勤務(〜2013年)
2013年
新潟大学大学院医歯学総合研究科 組織再建口腔外科学分野入局(〜2017年)
2015年
富山県立中央病院歯科・口腔外科勤務(〜2016年)
2017年
新潟大学大学院医歯学総合研究科修了(歯学博士学位取得)浅井歯科医院勤務
資格・所属学会
2010年
(4月1日)日本顎咬合学会入会
2010年
(6月23日)日本口腔インプラント学会入会