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お口の豆知識 TRIVIA

子どもの口呼吸と鼻呼吸の違いとは?お口ポカンの影響と見分け方

子どもの口呼吸と鼻呼吸の違いとは?お口ポカンの影響と見分け方

お口ポカンが気になり始めた保護者の方へ


動画に夢中になっているとき、あるいは眠っている間。お子さんの口が開いたままになっていませんか。朝いちばんに「喉が渇いた」と言うのも気になるところです。鼻から吸うか口から吸うかで、体に取り込む空気の状態も顎の育ち方も変わると考えられています。この記事では両者の違い、家庭でできる見分け方、歯科医院へ相談する目安を整理します。


この記事の要点まとめ


  • 口呼吸は口腔内の乾燥を招き、歯並びや顎の発育に影響を及ぼす可能性があります。
  • お口ポカンの仕草や就寝時の様子、手鏡などを用いて家庭でも傾向の把握が可能です。
  • むし歯がない段階でも受診でき、口唇機能の測定や口周りのトレーニングが役立ちます。

子どもの身体を守る鼻呼吸と口呼吸の決定的な違い

子どもの身体を守る鼻呼吸と口呼吸の決定的な違い

同じ「息を吸う」動作でも、通り道が鼻か口かで体への入り方は変わってきます。まずは構造の差から見ていきましょう。


加湿・異物除去を行う鼻呼吸と乾燥を招く口呼吸の仕組み


鼻の内部は粘膜と細かな毛に覆われていて、外気をあたため、湿り気を与えながら、ほこりや花粉、細菌などをある程度とらえるとされています。さらに鼻腔では一酸化窒素がわずかに作られ、気道や血流の調整に関わると考えられています。いわば鼻は空気を整えてから届ける入口なのです。


対して口から吸い込む場合は、乾いた外気がそのまま喉へ届きます。唾液が蒸発して口の中が乾けば、自浄作用や再石灰化の働きは発揮されにくくなり、むし歯や歯肉の炎症、口臭が起こりやすい環境へ傾くと指摘されています。喉の粘膜が乾くことで、感染に対する抵抗力に影響が出る可能性も。生活習慣と全身の健康の関わりは、公的機関でも広く扱われているテーマです1。朝起きて喉の渇きを訴えるのは、就寝中に口が開いていた可能性を示すひとつのサインと考えられます。


顎の成長と歯並びに口呼吸が及ぼす発育上の影響


口を閉じているとき、舌は本来、上顎の内側に軽く触れています。この舌の圧力が上顎を横へ広げる自然な力となり、歯が並ぶスペースづくりを助けると考えられています。ところが口が開いた状態が続くと舌は下がり(低位舌)、上顎が育つ方向への刺激が減りがちに。その結果、歯列の幅や前歯のかみ合わせ、口元の印象に差が出る場合もあります。


また、口で息をしやすい姿勢をとるうちに顎が前に出て、首や背中が丸まりやすくなることも。呼吸と姿勢、噛む力は互いに影響し合うため、当院では姿勢の面からも体の使い方を見つめ直すことを大切にしています(姿勢と成長の情報サイト)。小児期の口腔機能の発達については、小児歯科の領域でも継続的に情報発信が行われています2


家庭で確認できる子どもの口呼吸サインと見分け方


診断は歯科医院や医療機関で行うものですが、気づきのきっかけは毎日の観察から生まれます。


日常の仕草や睡眠時に見られる口呼吸の代表的な兆候


次のような様子が続いていないか、数日間ゆるやかに見守ってみてください。


  • テレビや動画に集中しているとき、口がぽかんと開いている
  • 就寝中にいびきをかく、寝相が大きく乱れる、寝汗が多い
  • 朝起きた直後に喉の渇きや口の中のねばつきを訴える
  • 食事中にクチャクチャと音が出る、唇をなめる癖がある
  • 前歯の表面に着色(茶渋のような汚れ)がつきやすい
  • サ行・タ行などの発音がはっきりしないことがある

いくつも当てはまるようなら、単なる「癖」ではなく口周りの機能の育ち方が関係している可能性も視野に入れてよいでしょう。


手鏡やティッシュペーパーを用いた自宅での簡単な見分け方


道具を使った確認も手軽です。ティッシュペーパーを細長く切って鼻の下に垂らし、唇を閉じた状態で揺れるかを見る——これで鼻から空気が出ているかの目安になります。手鏡を口元に近づけて曇るかを確かめる方法も同じ考え方。さらに、唇を閉じて30秒ほど静かに座っていられるか、口を閉じたまま水を含んで数十秒保てるか(ウォーターキープ)といった確認も家庭で試せます。苦しそうにする、すぐ口が開くといった様子があれば無理に続けず、相談の材料としてメモしておくとよいでしょう。


よくある誤解:鼻づまりだけでなく口周りの筋力低下も主な原因


「鼻が通れば自然に鼻呼吸へ戻る」と思われがちですが、実際はそう単純ではありません。アレルギー性鼻炎やアデノイド・扁桃の肥大など鼻の通りにくさが背景にあるケースもあれば、口輪筋など口周りの筋肉の発達が追いついていない、指しゃぶりや舌で歯を押す癖が残っている、といった要因が重なることも少なくないのです。鼻の治療で通りが良くなっても、口を閉じ続ける力や舌の置き場所が身についていなければ、開いたままの状態が続きやすくなります。だからこそ、鼻と口の両面から見ていく視点が役立ちます。


むし歯がなくても相談可能!歯科医院での口呼吸へのアプローチ

むし歯がなくても相談可能!歯科医院での口呼吸へのアプローチ

「痛みもむし歯もないのに相談してよいのだろうか」と気後れされる保護者の方は少なくありません。口周りの癖や機能の発達は歯科が扱う領域のひとつですから、むし歯がない段階でのご相談も承っています


口唇閉鎖力測定器(りっぷるくん)などを用いた口腔機能の確認


当院では、唇を閉じる力を数値で確認できるりっぷるくんを用いて、口唇閉鎖力の状態を把握します。あわせて3D口腔内スキャナーで歯並びや顎の幅を立体的に記録し、必要に応じて歯科用CTで顎の骨や気道周辺の状況も確認。数値と画像で共有することで、感覚だけに頼らず変化を追いやすくなります。舌の位置や飲み込み方、唇や頬の動きも一緒に見ていきます。


口腔筋機能療法(MFT)による正しい舌の位置と呼吸の習得


確認結果をもとに、口腔筋機能療法(MFT)として口周りの筋肉と舌のトレーニングをご提案します。舌先を上顎のスポットに置く練習、「あいうべ体操」のように唇と舌を大きく動かす運動、よく噛んで食べる習慣づけなどが中心で、器具を使わずに始められる内容も多くあります。年齢やお子さんの様子によっては、装置を用いる小児矯正と組み合わせる選択肢も。短期間で仕上げることより、毎日少しずつ続けられる形を一緒に見つけることを大切にしています。効果の現れ方には個人差がありますので、経過を見ながら進めていきます。小児期の口腔機能への関わりは、小児歯科領域で継続的に検討されているテーマです2


歯科受診と耳鼻咽喉科受診のどちらを優先すべきかの判断基準


鼻づまりが慢性的、いびきが強く睡眠が浅い、季節を問わず鼻声が続く——こうした様子が目立つときは、耳鼻咽喉科での確認を先に検討されるとよいでしょう。鼻の通りそのものに物理的な要因がある場合、家庭での工夫だけでは変わりにくいためです。反対に、鼻は通っているのに口が開く、唇を閉じる力が弱い、食べ方や姿勢が気になるといった場合は歯科医院がお役に立てます。迷うときは、まずご相談ください。生活習慣や健康に関する基礎情報は公的機関でも公開されています1。当院は五泉市で小児歯科の診療を行い、Instagramでも診療時間のお知らせを発信しています。


よくある質問


Q. 子どもが口呼吸を続けると、どのような点に注意が必要ですか?

A. 口の中が乾きやすくなることで、むし歯や歯肉の炎症、口臭が起こりやすい環境へ傾く可能性が指摘されています。また舌が下がることで、顎の育ち方や歯並び、姿勢に影響が及ぶことも考えられます。睡眠の質や日中の集中力との関わりも話題になっており、早めに状態を把握しておくと役立ちます。


Q. 鼻が通っているのに口呼吸になるのはなぜでしょうか?

A. 唇を閉じ続ける筋力が育っていない、舌の位置が下がっている、指しゃぶりなどの癖が残っている——こうした要因が考えられます。鼻の通りとは別に、口周りの機能面を確認したほうがよいケースも少なくありません。


Q. 鼻呼吸と口呼吸では、どちらが望ましいのでしょうか?

A. 空気の加温・加湿や異物をとらえる働きがある点から、一般には鼻呼吸のほうが体への負担が少ない形と考えられています。ただし鼻の疾患がある場合は口で補う必要もあるため、まずは原因の確認を優先しましょう。


Q. 何歳ごろから気にかけるとよいですか?

A. 乳歯が生えそろう3歳前後から様子を見ておき、顎の成長が続く就学前後は特に観察しやすい時期とされます。年齢にかかわらず、気になるサインに気づいた時点でご相談いただいて差し支えありません。


Q. 市販の口をふさぐテープを使ってもよいですか?

A. 年齢や鼻の通り具合によっては呼吸を妨げる恐れがあるため、自己判断での使用は控え、事前に歯科医院や医療機関へご確認ください。当院では、まず日中のトレーニングから始める方法をご案内しています。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

2. 日本小児歯科学会 公式サイト https://www.jspd.gr.jp/


浅井佑介

歯科医師


浅井歯科医院

院長

浅井佑介

▶ 監修者プロフィール

経歴
2002年
新潟県立新津高校卒業
2008年
明海大学歯学部歯学科卒業
明海大学付属明海大学病院 歯科医師臨床研修(〜2009年)
2009年
明海大学歯学部 オーラルリハビリテーション学分野入局 PDI診療センター勤務(〜2013年)
2013年
新潟大学大学院医歯学総合研究科 組織再建口腔外科学分野入局(〜2017年)
2015年
富山県立中央病院歯科・口腔外科勤務(〜2016年)
2017年
新潟大学大学院医歯学総合研究科修了(歯学博士学位取得)浅井歯科医院勤務
資格・所属学会
2010年
(4月1日)日本顎咬合学会入会
2010年
(6月23日)日本口腔インプラント学会入会