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お口の豆知識 TRIVIA

赤ちゃんの“かじりとり”とは?練習におすすめの食材とそのメリット


赤ちゃんの成長において、「かじりとり」はとても大切なステップです。離乳食が進み、前歯で食べ物を噛み切る練習をすることで、顎の発達や歯並びにも良い影響を与えます。


また、食べ物を自分の力でかじる経験は、食べる楽しさを学ぶ第一歩でもあります。

今回は、かじりとりの基本や始める時期、練習におすすめの食材、そしてそのメリットについて詳しく解説します。


■赤ちゃんのかじりとりとは?


◎かじりとりの意味と目的

「かじりとり」とは、赤ちゃんが前歯や歯ぐきを使って食べ物を噛み切ることを指します。離乳食の後期から完了期にかけて見られる行動で、単に“食べる”だけでなく、「噛む」「飲み込む」「唇を閉じる」といった複数の口の動きを協調させる練習になります。


この時期の赤ちゃんは、歯が生え始めており、口周りの筋肉や顎の動きも少しずつ発達しています。スプーンで与えるペースト状の食べ物から、手づかみで食べる形状のものへ移行することで、自分のペースでかじる感覚を身につけていきます。


◎かじりとりがもたらす発達への効果

かじりとりを通じて、赤ちゃんは咀嚼(そしゃく)に必要な筋肉や顎の使い方を自然に覚えていきます。これは将来的な歯並びや言葉の発達にも影響します。


正しく噛む習慣を身につけることが、口腔機能発達不全症(口の機能が十分に育たない状態)の予防にもつながるとされています。


■赤ちゃんのかじりとりはいつから?


◎かじりとりの目安時期

かじりとりを始める目安は、一般的に生後12~18か月頃といわれています。この時期には上下の前歯が生え始め、手で食べ物を持つ動作も上手になってくるため、自然とかじりとりの練習ができるようになります。


ただし、すべてのお子さんが同じペースではありません。歯の生え方や興味の示し方など、発達のスピードには個人差があります。焦らずにお子さんの様子を見ながら進めることが大切です。


◎かじりとりのメリット

  • 顎の発達を促す 

    食べ物を前歯で噛み切る動作は、顎の筋肉を鍛えるトレーニングになります。顎がしっかり発達することで、永久歯の生えるスペースを確保しやすくなり、歯並びにも良い影響を与えます。


  • 唇・舌・頬の協調運動を促す

    かじる、噛む、飲み込むといった動作を通じて、口周りの筋肉がバランスよく発達します。これは発音や表情の豊かさにも関係することがあります。


  • 自立心や食への興味を育てる

    自分の手で食べ物を持ち、噛み切って食べる経験は、赤ちゃんにとって「自分で食べる」喜びを感じる大切な機会です。食への関心を高め、偏食の予防にもつながります。


■かじりとりの練習におすすめの食材は?


◎初めてのかじりとりには、やわらかくて手で持てる食材を

かじりとりの最初のステップでは、赤ちゃんが自分の手でつかみ、前歯や歯ぐきで少し力を入れてかじれる程度のやわらかさが理想的です。歯が生え始めた頃はまだ噛む力が弱いため、無理なく感触を楽しめる食材から始めましょう。


たとえば、


  • スティック状にした茹でにんじん

  • ほどよい弾力と甘みのあるバナナ

  • 手づかみしやすい大きさに切ったやわらかいじゃがいもやかぼちゃ


といった食材がおすすめです。


これらは舌や唇で動かしやすく、前歯でかじり取る感覚をつかみやすいのが特徴です。かじりとりの初期は、「食べられた量」よりも「感触を楽しむこと」を大切にしましょう。赤ちゃんが笑顔で挑戦できる環境が、かじりとりの上達につながります。


◎慣れてきたら“歯ごたえ”のある食材へ少しずつステップアップ

かじりとりに慣れてきたら、少し歯ごたえのある食材で「噛み切る力」を育てましょう。

この段階では、赤ちゃんが前歯で噛んだあと、舌で押しつぶしたり、頬で支えたりといった口の協調運動を自然に学んでいきます。


おすすめの食材は、


  • スティック状にした耳を除いた食パン

  • やわらかく煮たうどんや豆腐ハンバーグ

  • 火を通してホクホクしたさつまいもスティック


などです。


これらの食材は、やさしい抵抗感があることで“かじる感覚”をより実感でき、噛む力と顎の発達を同時に促します。新しい食材を試すときは、小さめに切り、保護者の方がそばで見守りながら少しずつ与えるのが安心です。


◎かじりとりには不向きな食材にも注意

赤ちゃんのかじりとり練習では、「かたい・丸い・弾力が強い」食材は誤嚥(ごえん)や窒息の原因になるため避けましょう。


たとえば、


  • にんじんやきゅうりなどの生野菜

  • ピーナッツ、ミニトマト、ぶどうのように丸くてつるりとした食材

  • 餅やこんにゃくなど弾力が強く飲み込みにくいもの


これらは大人には小さく見えても、赤ちゃんにとっては危険となることがあります。安全な食材を選び、「一緒に食べる時間」そのものを楽しむことを意識しましょう。


■まとめ


かじりとりは、赤ちゃんの口の発達や顎の成長、そして歯並びにも良い影響を与える大切なプロセスです。生後12〜18か月頃を目安に、やわらかい食材から少しずつ練習を始めてみましょう。焦らず、赤ちゃんのペースに合わせることがポイントです。


浅井歯科医院では、歯の発達やかじりとりに関するご相談も承っています。お子さんの健やかな口腔発達を一緒にサポートしましょう。

浅井歯科医院
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